がん治療

「どう生きるか」
を応援するがん治療

タカラクリニックでは、患者さんの病状に合わせた治療法を提案しています。
がんと共存し、少しでも長くQOLの高い生活をしていただき、がんと闘って苦しみ抜 く「闘病生活」ではなく、もっと「穏やかな生活ができる期間が長い人」が増えるように、治療に取り組んでいます。

TCTP療法とは

高良院長診察風景

TCTPとは、Total Cancer Treatment Protocol 総合的がん治療プロトコルの頭文字をとった略語です。

がん治療は、敵が”がん細胞”であるだけに、その治療は一筋縄では行きません。一見、治療が成功したように見えても、実は体内環境が劣悪になると、また再発します。そこで私たちタカラクリニックでは「局所制御」と「全身制御」という二つの治療を組み合わせ、さらに、日々の治療の中に統合医療を加えることで、”がん細胞”が住みにくい体内環境を作り、治療成果を上げています。この総合的な治療法を、私たちはTCTP 療法と呼んでいます。

TCTP概念図表

「局所制御」の「局所」とは、PET/CTなど画像で確認出来るがんの原発及び転移腫瘍を指しています。まずはこの「局所」に対して「放射線治療」で制御します。次に全身に散らばったがん細胞を「免疫治療」もしくは「遺伝子治療」にて制御するといった二段構えで対処しています。

免疫療法 

◆TAKARA式MAF療法

TAKARA式MAF療法は、マクロファージ活性化し、本来人間に備わった免疫システムを活用して様々な疾患の治癒を助ける治療です。

マクロファージを活性化させる因子の前駆物質として血清糖タンパク質(Gcグロブリン)に着目しています。Gcグロブリンを特定酵素処理を行うことによって、Macrophage Activating Factor:マクロファージ活性化因子(MAF)に変換され、マクロファージの腫瘍細胞貪食作用及び血管新生阻害作用を介した抗腫瘍効果が報告されています。

■マクロファージとは?

マクロファージは、生体防御の第一線で働く自然免疫の主要な細胞です。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、防御機構において重要な役割を担っています。

マクロファージは、体内に侵入した細菌などの異物を排除する能力(食作用)に優れており、細菌感染等を防いでいます。異物を食べたマクロファージはそれらを効率的に行う際、さまざまなサイトカイン(タンパク質)を分泌し、免疫機能を活性化します。また、取り込んだ異物の情報をT細胞に伝えることができ、体の中を幅広く行動しながらより強力に、がん細胞・細菌・ウイルスなど、本来体にあるべきものではない異物を狙って攻撃します。

TAKARA式MAF療法は単独で用いられるだけでなく、従来の治療法や他の免疫療法と併用して、進行がんの治療、あるいはがんの手術後の再発防止にも用いられ、患者様の生活の質(QOL)の向上が期待されています。また、本療法の副作用は軽度であり、軽い発熱以外には殆ど認められないことが報告されています。

◆NKT細胞標的治療【RIKNKT©️】

NKT細胞標的治療「RIKNKT©️」は理化学研究所の基礎研究と国の先進医療Bとして行われた千葉大学の技術を元に、理研免疫再生医学が独自開発した治療法です。2016年より民間医療機関において治療を開始し、既に多くの症例数があり、従来の免疫治療と比較して非常に大きな抗腫瘍効果が確認されています。

RIKNKT©は新しい概念の治療法です。NKT細胞は、活性化することで多量のサイトカインを産生して他の免疫細胞(NK細胞、T細胞、マクロファージなど)を活性化し、間接的にがんを攻撃します。更に、NKT細胞自身が、患者が固有に持つHLA/MHC注1という情報に拘束されず、あらゆる患者のあらゆるがんを強力に攻撃します。

また、一旦活性化したNKT細胞は、長期の免疫記憶注2を保持し、体内で長期間に渡りがん細胞を攻撃し続けます。NKT細胞は生命維持の根幹となるものです。

ヒトの最も基本的な生体防御機構である「免疫力」を活用し、副作用も侵襲性も殆どなく、標準治療とも併用可能です。但し、投与後、副作用として軽い発熱や倦怠感が見られる場合がある事が報告されています。

注1:各人個別に異なるタンパク質の情報。骨髄や臓器移植にはこのマッチングが必要。  

注2:理化学研究所で行われた実験では少なくとも9ヶ月以上保持されました。

 

NKT細胞標的治療「 RIKNKT© 」治療の流れ

1. 患者様は通院のみで、自身の体調や都合に合わせて自由な治療スケジュールを立てることが可能です。

2. 医師による初診、血液検査、詳細な治療内容の説明の後、血中の単球成分を採取するための成分採血を実施します。4回分の投与に十分に必要な量を確保します。所用時間は3〜4時間程度です。患者様は同日、帰宅することができます。

3. 採取された単球は細胞調整センターで、7日間かけて複数の工程を経て、十分に成熟した、NKT細胞を活性化させる特殊な細胞(目的細胞)に変化します。目的細胞は、その後4日間かけて複数の厳格な検査により安全性が確認されます。

4. 目的細胞は、皮下への注射(2cc程度)か、上腕部での点滴により投与され、2週間おきに4回に分けて実施されます。

◆NK細胞療法

生まれながらにして非常に強い殺傷能力がある自然免疫系防御機構のNK(ナチュラルキラー)細胞。がん細胞やウィルス感染細胞を見つけ出次第攻撃をするリンパ球です。

患者様の血液を採取し、指定の細胞加工施設でNK細胞を大量に培養します。その培養したNK細胞を再び患者様の身体にもどすことにより、患者様自身の免疫機能を高め、がん細胞の死滅を期待するものです。患者様自身の血液から得られた血中NK細胞を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応はございません。

  1. 治療を開始するためには、患者様自身の血液をご提供いただく必要があります。採血量は30~60ミリリットルです。採血の際にはご体調等を十分に考慮して採血を行うか否か決めます。
  2. 最初のNK細胞投与日は、細胞調製・細胞培養作業が開始されて一週間程度経過した後にわかりますので、当院よりご連絡の上調整させていただきます。すぐにスケジュールが設定できないのは、細胞の状態により培養速度に差が出るためです。
  3. NK細胞療法の投与間隔は他の治療法のスケジュールをお聞きして調整いたしますが、最短で2週間(14日)に1回の投与が可能です。投与を6回繰り返すことを1クールと呼びます。

◆融合(フュージョン)細胞療法

融合細胞療法の3つの特徴

■融合細胞療法は国内外で臨床研究を行ってきたがん治療です。

融合細胞療法はハーバード大学ダナ・ファーバーがん研究所で開発され、臨床研究を行ってきたがん治療法になり、患者さん自身のがん細胞を使ってがんを攻撃するというがん治療になります。

■融合細胞療法は世界にたった1つのオーダーメイド型のがんワクチンを調製します。

患者さん自身の細胞(樹状細胞)とがん細胞から新しい細胞を生成し、オーダーメイド型がんワクチンを調製、患者さん自身にこのワクチンを皮下注射により投与していきます。

■融合細胞療法はがん細胞の変異などにも対応、がんを特異的に攻撃します。

がん細胞そのものが変異をしたりしても、この融合細胞療法は、患者さんのほぼすべてのがんの情報(がん抗原情報)を持ち、がん細胞を攻撃する指令をキラーT細胞(CTL)に出します。
このキラーT細胞(CTL)ががん細胞を特異的に攻撃していきます。

融合細胞療法は以下のほぼすべてのがん種に対応しています。

応がん種肺がん、 前立腺がん、 胃がん、 精巣がん、 肝臓がん、 皮膚がん、 食道がん、 すい臓がん、 膵がん、 骨腫瘍、骨肉種、 大腸がん、 軟部腫瘍、 胆道がん、 胆管がん、 胆嚢がん、 腎(腎細胞)がん、 膀胱がん、 喉頭がん、子宮頸がん、 子宮体がん、 外陰がん、 頭頚部のがん、 卵巣がん、 小児がん、 乳がんなど

※外科手術・化学療法・放射線療法の3大標準治療でも難しい転移・再発したがんのほか、難治性のがんや進行したがんについてもご相談ください。

※患者さんの細胞をもとにワクチンを調製しており、微熱、倦怠感などを感じる場合がありますが、重篤な副作用の報告はありません。

細胞治療技術研究所 理学博士
 佐久間 貞俊

ペンシルバニア大学ウイスター研究所研究員、マックギル大学生化学助手、ハンブルグ大学医学部内分泌研究所研究員、明治乳業細胞工学センター所長などを経て、融合細胞の製造・品質管理の責任者。がん免疫による治療法、免疫治療薬や抗がん剤、放射線などとのコンビネーション治療、がん細胞のエスケープも研究。細胞という観点から融合細胞治療について解説していく。

 

◆遺伝子治療

がんの原因である遺伝子の損傷。その原因に働きかけ、「傷ついた遺伝子を正常に戻す」そのアプローチを用いたのが、当院のがん遺伝子治療です。

遺伝子の種類

■Cdc6shRNA

dc6タンパク(細胞分裂が活発でがん細胞に特異かつ大量に発生している遺伝子)をRNA干渉でノックダウンささえるためのタンパク質の導入です。

CDC6というタンパクを特殊な技術で除去する事でがん細胞の分裂を止めてがん細胞

をアポトーシス誘導させることがわかっております。

P16

細胞の分裂を分裂初期(G1期)で停止させ細胞廊下を誘導します。細胞老化とは細胞の異常な増殖を防ぎ、発がんを予防する生体防御機能です。

p53

 P53は、がん抑制遺伝子です。DNA修復や細胞増殖停止、アポトーシス等の細胞増殖サイクルを抑制する機能を持っている。がん細胞では、p53遺伝子の変異が高頻度に見受けられます。

PTEN

腫瘍の増殖と転移を抑制し、細胞のアポトーシスと分化を促進します。

薬耐用性を逆転する作用を発揮する期待が持てます。PTEN遺伝子は多くのがん細胞で高頻度に変異や欠損が見受けられます。

■TRAIL

がん細胞をアポトーシスへ導くサイトカインです。周囲の正常組織に影響を与えずに選択的にがんに対して攻撃できるといわれています。

 

※アポトーシス:細胞が自然死する作用

 

これまでの標準治療【手術・化学療法・放射線療法】で対応できない進行がんに対して、注射や吸入という方法で効果が期待できる治療法です。

本療法の副作用は軽度であり、軽い発熱以外には殆ど認められないことが報告されています。

◆高濃度ビタミンC注入療法

これまでビタミンC(以下VCと表記します)を用いたがん治療の研究は30年以上の歴史があります。経口または静脈注射によるVC投与は、手術後の残存腫瘍や腫瘍摘出後の補助化学療法として行われ、サプリメントとしても抗酸化剤としてがん予防や再発予防に使用されてきました。しかし、経口からの投与ではがん細胞を死滅させるまでの血中濃度に達することはできません。がん細胞を殺す為には3500~4000μg/dlの血中濃度が必要です。VCの酸化促進効果は、カタラーゼの欠乏しているがん細胞のアポトーシス(がんが自殺すること)を誘導しますが、正常細胞に、酸化による障害を与えることはありません。VCは結合組織・軟骨・骨・歯の生成にも必要です。また、がん組織を封じ込めるための線維組織を形成するコラーゲンやカルニチンの生成を助けます。

 

◆高濃度ビタミンC注入療法を施術するにあたり、必ずG6PD異常症スクリーニング検査を実施致します。

※G6PD異常症とは、判性劣勢遺伝を示す家族性溶血性疾患です。アフリカを筆頭に世界で数億人いると推測され、日本では0.1~0.3%との報告がなされています。このG6PD異常症が確認されると高濃度ビタミンC注入療法で重症溶血性貧血発作を起こす危険性があります。

本治療により期待される効果は、病態進行の抑制、がん病巣の退縮、およびQOLの向上などです。

副作用としては、施術後あるいはその後1週間以内に生じる可能性のあるものとして、現在までに尿管結石を起こした報告例がありますが、基本的には、重大な副作用は報告されていません。稀に点滴中の血管痛を起こす場合がありますが、点滴内にはそれらを予防するための薬剤を使用しております。いずれの場合も治療前にはいくつかの項目について検査を行い、データを確認してからの開始となります。